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本日のレビュー:山口敬之さんの「総理」

先日、山口敬之さんの「総理」を読みました。

安倍総理をはじめ、政権の真っ只中にいる人々と親しく交流し、率直な意見を交えてきた著者が記したこの一冊。

一分一秒を争う臨場感があり、でも文章はわかりやすく、すぐに読み終わってしまいました。

 

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選挙だったり、育児や介護だったりで、ふと政治に興味を持って調べ始めると、きっと誰もがぶち当たる壁があると思います。

それは、「重大なことが次々と行われているけど、報道を見ても、どうせ表向きのことしかわからないし」「裏ではいろんな事情があるんだろうけど、それは自分たちには見えないし」というようなこと。

 

本書がとても面白かったのは、まさにその「裏でいろんな事情があるんだろうけど」の裏の部分。私たちがニュースで見る、消費税増税解散総選挙、政治家の不祥事といった出来事について、そこに至る背景が臨場感あふれる文章で描かれています。

普段のニュースでは、「こう決まりました」と結論だけを切り取って見せられ、「何故ならこういう理由です」と取ってつけられたような経緯しか説明されない出来事の数々。

いったいあの時、何があったのか、なぜそんな決断をしたのか。そんなもやもやが少し明らかになって、すっきりする一冊です。しっかり真面目に読んでもいいし、ワイドショーを見る時の裏側をのぞく気分でも読んでもいいと思います。

 

そしてもうひとつ、読みやすかった理由は、安倍政権をとにかく肯定したり、とにかく否定したり、という目的のために書かれたものではないように思えたこと。

私は個人的に、安倍政権を強く支持しているわけではなく、かといって強く嫌悪感を抱いているということもなく、一つ一つの政策に賛成も反対もある、という状態です。そんな自分にとって、肯定や否定の主張が激しくない本書はとてもありがたい一冊でした。

 

とはいえ、著者は安倍総理の近くにいた人物なので、その苦悩や経緯が記されている分、読み終わった後、総理に好意を持つ人が多いのではないかなぁと感じました。ああ、苦労を重ねながらも、筋が通った人なんだなぁと。

それはそれで良いと思いつつ、安倍総理が一人の人物や政治家として素晴らしいかどうかと、彼が目指している日本の未来を支持するかどうかは別の話。他の政治家にもきっと同じようにドラマがあり、行動の裏には必ずその理由があるのだろうということを、忘れたくないなと思います。

 

ひとまず、政治や政治家というものが少し身近に感じるこの一冊。とてもおすすめです。