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加藤陽子さんの「それでも、日本人は戦争を選んだ」。日本の近現代史を学びたい人におすすめ。

「日本の近現代史を学び直したい」という大人にも、「日本はなんで戦争をしたんだろう」という子供にも、激しくおすすめしたい本に出会いました。

視野がとても広く、内容が偏っておらず、とても読みやすい一冊です。

 

加藤陽子さんの「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」

それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)

新品価格¥810から(2017/5/23 19:04時点)

東大教授の加藤陽子さんが、高校生に講義をした内容をまとめて出版した本です。とにかく「講義で伝えた内容そのまま」なので、読みやすい。

 

「なぜ戦争を選んだのか」というゴールに向けて、明治〜昭和の全体を理解する

タイトルを見ると、戦争にフォーカスをした本に見えますが、決してそういうわけではありません。

「なぜ太平洋戦争を選んだのか」は、この本を貫く問いですが、その問いに答えるために、明治から昭和までの日本の歴史、そして世界の歴史を、一つずつ掘り下げていきます。

「日本はどのように明治を迎え、どのように政治体制や法律、経済を作り上げていったのか」

「各国とどのような外交交渉を行い、戦争をし、その背景には何があったのか」

「その中で、国民はどんな生活をし、何を感じていたのか」

このように、広範囲にわたって、当時の外交や政治、国民の感情などを手厚く説明してくれます。そして何より素晴らしいのは、その一つずつのキーワードが「どのように関係し合っているか」に重きを置いていること。事実の羅列ではなく、そのつながりが本当によくわかります。

 

近現代史は複雑でわかりづらい。でもちゃんとつながりがある。

歴史はあらゆる要素が複雑に絡み合うので、どうしてもわかりづらくなりがちです。

「なぜ太平洋戦争を選んだのか」という問いに対しても、「アメリカとイギリスの陰謀だ!」とか、「報道による洗脳だ!」とか、「日本の軍部の責任だ!」とか、いろんな説があり、そのどれか一つを「答え」と信じたくなります。

でも、現在私たちが生きている社会を見ても、戦争の理由をたった10文字や20文字で説明できるほど単純ではない、ということは明らか。その一方で、「いろんな理由が複雑に絡み合っているんだね!」の一言で片付けてしまっても、何も理解できない。

できる限り、一つ一つのつながりを見つけながら、明治から昭和を生きた人たちを理解していく。そんな本でした。

加藤陽子さんの「それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)」、本当におすすめです。

 

<この記事を読んでいる方におすすめ>

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