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中国現代史の「全体像」と「雰囲気」をつかむ。初心者におすすめの入門書とは。

なぜか、中国現代史が好きです。

「好き」というより、「気になる」の方が正しいかもしれません。 特に世界史が好きなわけではないのに、中国への興味は尽きないのです。

 

なぜこんなに面白く感じるんだろう?その一つの理由はきっと、面白い本に出会ってきたから。 そして、その数冊のおかげで、まるでその時代に生きているかのように実感できたから、かもしれません。

ここでは、そんな中から、超おすすめの2冊を紹介します。 これから中国や中国語の勉強を始める人や、中国に初観光に行く人に是非おすすめしたい2冊です。

 

おどろきの中国(橋爪大三郎×大澤真幸×宮台真司

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 日本を代表する社会学者三人が、「中国とはそもそも何か?」をテーマに、対談形式で意見交換をしている一冊です。

新書ですが、内容は非常に濃く、文体は読みやすく、ものすごく面白いです。特に、三人のうちの一人である橋爪大三郎さんは、奥様が中国人で、普段から様々な中国の人と深いつながりがある方なので、なんとなく中国に対して抱いていた疑問について、とても腑に落ちる答えをたくさん投げかけてくれます。

 

テーマの中でも、特に面白かったものを挙げてみます。

「西洋のものさしで中国を測ることが何故難しいのか」

「中国はそもそも「国家」なのか」

「血縁を非常に重視しながら能力主義も根付いているのは何故か」

儒教が根付いているのにマルクス主義の革命が起こったのは何故か」

「彼らは主張が激しくアグレッシブに見えるが本当か。それは何故か」

「いったい何故、文化大革命はなされたのか。10年も続いたのか」

 

そして、なるほど、と思ったうちのいくつかをご紹介。

「国民にとって安全保障の優先順位が極めて高く、誰もが深く理解している」

「日本は革命を好まない。でも中国は革命を認める。トップへの信頼が崩れると、「実力によって丸ごと入れ替わる」ことが現実的にある。ずっと昔からそう。共産党の統治もそう」

「日本では、トップが無能であってもよい。誰が決めたのかよくわからない形で物事が進んでいく。中国側のシステムは逆で、トップが意思決定をしなくてはならない」

 

…やっぱり、一部の抜粋だと、面白さが伝わらないですね。これが新書で読めるというのは本当にお得だと思うので、是非おすすめです。

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ワイルドスワン

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中国の現代史を生き抜いた女性の自叙伝。文化大革命紅衛兵として参加した作者が、祖母と母と自分の人生を語り継ぐベストセラーです。1920年代〜1980年頃、彼女たちが激動の日々の中で「何をどう感じて」生きていたかが詳細に語られています。

 

祖母は清国の時代に生まれ、激動の中で軍閥の妾となり、満州国を生き抜いた人。そんな中で育てられた母は、共産党に入党し、そこで父と出会い、中華人民共和国の建国、朝鮮戦争、大躍進に吹き荒れる時代を、共産党エリートとして命がけで駆け抜けます。そのさなかに娘(作者)が生まれ、落ち着いた生活を手に入れたのもつかの間、文化大革命により大転落を味わい、家族はバラバラに厳しい肉体労働の現場に送られてしまいます。

 

とにかく臨場感が溢れ、ページをめくる手が止まりません…。 現代の中国で、実際に何が起こっていたのか。渦中で生きていた本人は、次々と変わりゆく現実をどう感じ、受け止めていたのか。夢中になって読み終えると、一通りの出来事が、まるで自分が味わってきた時代の変化のように、すとんと頭の中に入っている一冊です。

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まとめ

中国の現代史は、劇的な変化が唐突に起こりつづけるので、「何故突然こんなことが起こるんだろう」と首をひねるばかり。 通常の学術書から読み始めてしまうと、「書いてある意味はわかるんだけど、なんでこんなことが起こるのかさっぱり理解できない」という状態に陥る人も多いと思います。(自分がそうでした)

ここで紹介した2冊は、学術書ではない一方で、「ああ、こういう人たちなんだな」「ああこういう習慣や考え方が前提にあるんだな」と、しっくりくる部分がたくさんありました。 肌身から中国を理解する上で、役に立つことは間違いないと思いますよ。本当におすすめの2冊です!

 

 

 

<この記事を読んでいる方におすすめ>

加藤陽子さんの「それでも、日本人は戦争を選んだ」。日本の近現代史を学びたい人におすすめ。

読書録 北朝鮮の生活を知りたいなら「かぞくのくに」書籍版を。 。

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