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働いたり、妊娠したり、出産したり。

フルタイムでも共働きでも、ゆるゆるとマイペースに暮らしたい。

読書録 北朝鮮の生活を知りたいなら「かぞくのくに」書籍版を。

先日より何度か触れている、ヤンヨンヒ監督の映画「かぞくのくに 」。

書籍「兄 かぞくのくに 」もとても面白かったので、今日はこちらをご紹介したいと思います。 

 

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映画とは別物。三人の兄、そして両親を語る 

タイトルに「かぞくのくに」とあるので、映画の小説版かと思ったのですが、まったくの別物。

日本で暮らす映画監督のヤンヨンヒ監督ご自身とご両親、北朝鮮で暮らす3人のお兄さんについて、実際にどのような環境で生きてきたのかが語られている一冊です。

映画を見て、実際にどのようなことがあったのか知りたい、と思っていた私にはぴったりでした。もっと早く読めば良かった…。

 

実際に北朝鮮に渡ったお兄さんは三人。

映画ではお兄さんと妹の二人兄妹という設定でしたが、

ヤンヨンヒ監督ご自身には、三人のお兄さんがいるそうです。

お父さんの強い意志や予期せぬ事情もあり、三人とも十代の内に北朝鮮へ「帰国」。 

結局、末の妹だけが、日本に残ったのです。

 

三人が「帰国」することになった時の話は、何ともやるせない思いで苦しくなります。

当時は北朝鮮が「地上の楽園」と言われていた時代。そして、韓国と北朝鮮はすぐに統一されると思われていた時代。そんな先の未来が見えない中で、将来を決断しないといけない。

当然ながら、私はそんな状況におかれたことはありません。

本書を読んで、世界にはきっとたくさん、このような状況におかれている人々がいるんだと思い知らされました。

  

平壌の訪問や、お兄さんの子供の話。

映画では出てきませんでしたが、ヤンヨンヒ監督は何度か平壌を訪問し、お兄さんたちに再会しています。

お母さんは、日本から十箱以上のダンボールで差し入れを持ち込み、 お兄さんたち、お嫁さんや子供たち、親戚に配ります。

北朝鮮で暮らす彼らにとって、それらの差し入れはものすごく大切なものであることが、詳細に描かれています。

そして、何よりも興味深いのが、実際にその土地で暮らしている人たちの普段の生活の様子が紹介されていること。

歌を歌ったり、冗談を言い合ったり、美味しいものを食べたり。

ものすごく悲惨な話や、ものすごく作りこまれた話ではなく、彼らのごくごく日常を垣間見ることが出来ます。 

(ひどく悲しい話もいくつか出てきますが)

 

「かぞくのくに」のモデル。三番目のお兄さんの話。

三人のお兄さんの内、三番目のお兄さんが「かぞくのくに」のモデルのようです。

というのも、実際にお兄さんは、映画の中のソンホと同じく、病気の治療のために期間限定で帰国しているのです。

頬の奥にある腫瘍を治療するために帰国し、その間に、昔の友人やガールフレンドと話したり、病院に行ったり、家族で食卓を囲んだりします。

映画と異なる部分もありますが、実際のお兄さんも、平壌でのことは語らず、感情もあまり見せず、急な予定変更で、北朝鮮に帰国していきます。

読み終わってみると、映画でのソンホのほうが、ほんの少しですが、意志や感情を表現していたかもしれません。

もしかしたら、ヤンヨンヒ監督が、お兄さんがこう言ってくれたら楽だったのに、こうしてくれたらよかったのに、ということを、少しだけ映画に投影したのかもしれない。と、勝手に思ってしまいました。

  

北朝鮮での「普通の人たちの生活」を知りたい人のための一冊。

映画の雰囲気、余韻が好きな人はもちろん、映画を見ていない人でも、北朝鮮の暮らしに興味がある人にはとても貴重な一冊です。

権力者の周辺や、政治犯の収容所の話ではなく、平壌における普通の人たちの生活をここまで忠実に書いている本は、なかなかないのではと思います。

北朝鮮への「帰国」を推し進めた父親と、実際に帰国をして日々を送る兄たちの苦しみ、その家族を支える母親の強さと脆さ。 

朗らかで仲良しな家族が辿った、綱渡りのような日常。 

それは、北朝鮮平壌といった遠い場所の話ですが、私たちと同じひとつの家族のストーリーだと思い知らされます。

 

改めて、自分の人生を自分で扱えることの喜びを、感じずにはいられません。

是非おすすめです。 

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ちなみにこんな本もあります。

北朝鮮で兄(オッパ)は死んだ

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