NHKスペシャル「村人は満州に送られた」を見る3 関連書籍など
先日、NHKスペシャル「村人は満州に送られた」を見て感じたこと・何冊か関連書籍を読んだのでその感想などをまとめておきます。
番組内容に関するメモはこちら↓
NHKスペシャル「村人は満州に送られた」を見る - まずは何でもやってみる
NHKスペシャル「村人は満州に送られた」を見る 2 - まずは何でもやってみる
番組を見て一番強く感じたのは、「この事実をどれだけの人が知っているのか」ということ。
・関東軍、拓務省、農林省によって、なぜ満州移民が計画されたのか。
・なぜ各村では積極的に勧誘が行われ、人々は満州へ渡ることを決断したのか
・満州の土地はどのように確保され、現地の人々はどうなったのか
・戦争に降伏してもなお、満州の人々が1年以上にわたり、命を脅かされ続けたこと
・現在、この政策として行われた悲劇を振り返り、その反省を次へ生かすことができているのか
というようなことです。
私自身、このNHKスペシャルを観るまでは、引き揚げの惨状や悲劇にばかり目を向けていたので、非常に貴重な機会になりました。
そしてそのあと読んだ中で、一番勉強になったのはこの本でした。
二松啓紀さんの「移民たちの「満州」 満蒙開拓団の虚と実 」
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満蒙開拓団がなぜ推奨されたのか、国レベルの話から、村レベルの話まで、とても丁寧に記された良書です。
・そもそもの歴史背景、国レベル・政策としての動き
・山形県大和村、長野県大日向村、京都の天田郷開拓団・平安郷開拓団などに焦点を当てた上で、何故積極的に移民を行ったか、開拓にあたってどのような困難があったか、終戦によって人々はどうなったか、一つ一つの村を追う
・終戦後の大量難民と収容所について
数々の体験談も踏まえながら、俯瞰的に書かれており、情報量の多い一冊でした。
厚生省の調査によれば、満州における日本の死亡者は、ソ連参戦による戦闘で約6万人、終戦後に約18万5千人、合計24万5千人と推定されているそうです。
もっとこの歴史に対し、振り返りや教育があってもいいように強く思います。
また、体験談ベースで読みやすい本でいうとこちら。
「14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還 (集英社新書) 」
簡単な時代背景も含まれているので、まさに14歳前後の小学生〜中学生が初めて読むのにちょうどいいと思える一冊です。
つづいて、いろんな人の体験談を読みたい、という方におすすめの一冊。
「ボクの満州―漫画家たちの敗戦体験 」
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赤塚不二夫やちばてつやなど、有名漫画家の体験が描かれています。
ただし、彼らのうち多くは、開拓民ではなく満州の年で暮らしていた人々。
引き揚げにあたっては多くの犠牲者を出していますが、少し開拓民とは異なります。
こちらもとても読みやすい一冊。
最後に、NHKスペシャルで取り上げられていた長野県下伊那郡 河野村の村長 胡桃澤さんの日記も発売されていました。
「胡桃澤盛日記」
お子さん・お孫さんが取り組んでいるのでしょうか。
きっとこの日記がなければ、この番組も作れなかったのではないかと思います。