読書録:「心の闇」と動機の語彙。是非たくさんの人に読んで欲しい本。
最近とても面白かった本。三度読みしています。
「心の闇」と動機の語彙: 犯罪報道の一九九〇年代 (青弓社ライブラリー)
- 作者: 鈴木智之
- 出版社/メーカー: 青弓社
- 発売日: 2013/12/08
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (4件) を見る
詳しくはちゃんとまとめたいなと思うのですが… 犯罪報道を切り口に、「動機の語彙論」という論が展開されていきます。
「動機は行為の主体的な源泉であるという見方とは対照的に、それを言葉にして発信するのは主体ではなくメディアや受け手の人間である」
つまり私たちは、心の中に動機があり、それをもとに行為が生まれると思っていますが、実際に動機を「動機は◯◯である」と発信するのは他者が多い、という話ですね。
さらに、「行為者自身の言葉は不在、もしくは発信されても不可解なものとして突き返されることも多い」。本人が◯◯だから××した、と言っても、周りが理解できないと「動機として認められない」わけです。
そして、95年以降、その動機が「心の闇」と表されるようになった。「心」=「闇」=見えない。人の心をそうして表現することで、現代の人々はなにをしようとしてあおるのか、現代社会のなにが見えるだろうか。
自分が何気なく使っている言葉を改めて取り上げて真意を考える、という試みはとても面白いなと思いました。もうちょっと読み込みたいと思います。